コレステロールを運動で下げる~忙しい人のための効率の良い運動方法
会社の健康診断や血液検査においてコレステロール値が高く、「脂質異常症」「メタボリック症候群」「要精査」などと指摘された人も多くおられると思います。
コレステロールを改善するためには、「食習慣の改善」「運動習慣の取り組み」が基本であるといわれます。
みなさんは、運動習慣をお持ちでしょうか。コレステロール値が高いとお悩みの方の多くは中高年であり、サラリーマンとして働く人であれば責任役職についているなど多忙を極めている人が多くおられます。
運動不足を自覚している人の中では、運動しなければならないと考えている人がほとんどだと思いますが、実際はなかなか取り組めずにいる人が多いのではないでしょうか。
ここではそんな人のために、コレステロールと運動の関係について詳しくお伝えしていきたいと思います。
Contents
コレステロールを運動で下げるための考え方
運動不足はコレステロールを高める原因に
健康診断や血液検査においてコレステロール値の数値が悪いと診断された方は多いと思いますが、自分自身の生活を振り返って何が原因で数値が悪かったのか把握されていると思います。
また自分に必要なものはなにか、自分に足りないものはなにかについてもしっかりと把握されている方が多いことでしょう。
コレステロールは中性脂肪も含め、生活習慣病を引き起こす原因となっており、我が国ではメタボリック症候群が社会問題となっていることは周知の事実です。
コレステロールには、悪玉(LDL)コレステロール、善玉(HDL)コレステロールの2種類存在しますが、悪玉コレステロールは低く、善玉コレステロールは高く維持しておかねばなりません。
さらに中性脂肪も低く維持しておかねばなりませんが、これらの数値が基準値を超えてしまった場合には、「脂質異常症」と呼ばれる状態となります。
いまや成人の5人に1人存在しているといわれます。この状態を放置してしまうと、動脈硬化を促進し心疾患や脳梗塞を引き起こしてしまうことになります。
その原因は「食生活」と「運動習慣」で、改善においても大事なことはこの2つのポイントになります。厚生労働省においても脂質異常症の改善のためには、運動習慣を持つことを推奨しています。
参考:脂質異常症を改選するための運動 厚生労働省 e-ヘルスネット
継続した運動習慣が大事
コレステロール値を改善するために運動が大事なことは理解されている人は多いと思いますが、なかなか実行に移すことができないのではないでしょうか。
また「たまに運動することもあるけど、コレステロール値が下がることがないから効果がない」という意見をお持ちの人も少なくありません。
運動においては「習慣」が大事なのであって、1回の運動量はそれほど強いものでなくていいのです。そもそもいきなりへとへとになるまで運動してしまうと、次回から運動する気持ちが萎えてしまいます。それで運動が続かなくなってはまったく意味がないのです。
実は1回あたりの運動でコレステロールがどれくらい減るかというと、数値のうえではほとんど変わりません。そういわれると運動する気持ちがなくなってしまうかもしれませんが、運動することによって脂肪が燃焼していきますので、コレステロールではなく中性脂肪に大きな影響を与えることになります。
しかし中性脂肪はコレステロールの存在に大きな影響を与えることが分かっており、運動によって血液中の中性脂肪が少なくなると、善玉コレステロールを増やし悪玉コレステロールを減らすように変化していきます。結果的に脂質異常症を改善していくことになっていくのです。
とはいえ中性脂肪も1回の運動ではそれほど燃焼することはなく、継続していくと代謝もよくなっていき燃焼効率もだんだんよくなっていきます。つまり継続して運動していくことがとても大事なことなのです。
運動する時間がないという人に
運動習慣が大事だということを理解できたとしても、やはり運動する時間がないという人もおられると思います。
しかし運動というのは何も毎日仕事が終わってからフィットネスクラブに出向き、水泳や筋トレなどを行うことや毎朝ジョギングするということだけではありません。少し身体を動かすことを意識するだけでも、大きな運動効果をあげることが可能なのです。
例えば、「毎日の通勤において駅まで歩いてみる」「駅ではエスカレーターを使わずに階段を利用する」「電車は座らずに立つようにする」「会社でもエレベーターを使わずに階段を利用する」など、今すぐにできることはたくさんあると思います。
これらを習慣とすることで、毎日のカロリー消費はとても大きくなり、代謝がいい体質へと変化させることができるのです。運動習慣というものはこの程度のものでも十分ですので、今すぐ意識を変えるだけでいいことが分かります。
サラリーマンが手軽にコレステロール値を改善する効率のよい運動方法
ウォーキング
中高年において一番取り組みやすい運動は「ウォーキング」だと思います。ジョギングといわれると敬遠する人でも、歩くだけならできそうという人も多いのではないでしょうか。
厚生労働省が発表している統計では、1日に歩いている歩数は男性で8000歩程度、女性では7000歩程度であることが分かっています。しかし事務系の仕事をしているような人であれば、1日に5000歩も歩いていないともいわれます。
よく「1日1万歩」ということがいわれますが、実際5000歩程度しか歩いていない人が、倍の1万歩歩くことは難しいのではないかと思います。
そのため歩数が少ないと感じる人であれば、まずは今の生活から10分歩くことを目安にしてください。10分歩くと歩数でいえば1000歩程度になります。10分といえば通勤途中に歩くようにすれば達成することのできる数字でしょう。
革靴だからそんなに歩けないということであれば、スニーカーに変えてみましょう。いまスポーツ庁ではスニーカー通勤を推奨しています。スーツに合うスニーカーもたくさん販売されていますので、スニーカーに変えて通勤を歩いてみてはいかがでしょう。
参考:厚生労働省 身体活動・運動
参考:スポーツ庁 Fun+Walk
ジョギング
朝早く近所の風景を見渡してみると、ジョギングをしている人がたくさんおられることが分かります。健康を意識して取り組んでおられる人が多くなっている証拠です。
そのような姿をみて「自分も明日から走ってみようかな」と思った人もおられるのではないでしょうか。このようなきっかけからジョギングに取り組み、走ることが楽しくなり、市民マラソンに挑戦する人も増えているのです。
ただし始めたうちは思うように走ることができず、無理に頑張ろうとすると痛みを生じるなど故障してしまうことにもつながります。また体重などの数値を計測していても、それほど変化がないことにも気が付きます。
決して無理することなく、続けるということを意識して取り組んでいくことが大事です。最初は短い距離でも少しずつ走れるようになってきます。長い距離でも大丈夫になってくると走ることが楽しくなってくるでしょう。その頃には数値においても少しずつですが変化がみられるようにもなってきます。
水泳
市民プールなどに出かけてみると、中高年の人がたくさん来られていることが分かります。特に高年の人が意外に多いことがお分かりになるのではないでしょうか。
水の中では浮力がありますから、膝を痛めたりすることがなく、またウォーキングよりもはるかに消費カロリーが多く、それだけ効果が高いということがいえるのです。
しかし中高年の人がいきなりプールで水泳を行うことは危険で、少しずつ取り組むようにしましょう。水泳を始めると水の中でとても気持ちがいいのですが、体力の消耗がはげしく取り組み方によっては身体に負担をかけたり痛めてしまったりすることもあるのです。
最初は水中でのウォーキングで身体をならすようにしましょう。時間も短めに設定し、少しずつ増やすようにすればいいでしょう。慣れてくれば運動効率としてはとてもいいので、習慣にすることによって、大きな効果を得ることができるでしょう。
自転車
ジョギングや水泳などは苦手な人でも、自転車ならば取り組むことができる人も多くおられます。シティサイクルばかり乗っていた人でも、スポーツサイクルを購入したとたんに自転車の魅力にはまってしまう人も少なくありません。
自転車は自分の力でこいでいくものですから、体力に応じて取り組むことができます。またスポーツクラブなどに通う必要もなく手軽に取り組むことができます。
少しずつ遠くまで乗れるようになってくると「次の休みはここに行ってみよう」とサイクリングが楽しみになってきます。乗りなれている人であれば、1日に100㎞ほど乗ることも可能ですから、少しばかり小旅行気分で取り組むことができるのです。
運動効率もいいですので、コレステロール対策にも十分有効です。
コレステロール対策には筋トレがオススメの理由
テストステロンの原料はコレステロール
男性ホルモンの一つに「テストステロン」と呼ばれる成分があります。
男性らしさを司るホルモンで、骨格を形成したり、筋肉を強化したりするだけではなく、血液をつくったり、動脈硬化や生活習慣病を予防する働きがあります。テストステロンの分泌が多いことで、男性が男性らしく過ごすことができるだけではなく、病気を防ぎ、元気に健康に生活することができるホルモンです。
しかし中高年になるとテストステロンの分泌が少なくなるといわれています。するとどんどん動脈硬化や老化が進み、心筋梗塞や脳梗塞の原因となってしまうのです。
このテストステロン分泌のカギを握っているのが「コレステロール」なのです。コレステロールの重要な役割としてホルモンの原料となって、バランスを調整することがあげられます。
筋トレを行うと全身筋肉量が増え、新陳代謝が高まります。新陳代謝が高まると、基礎代謝が高まり、何もしていない状態でもカロリー消費をしやすい身体へと変化していきます。すると体内に中性脂肪が蓄積せずに消費し、結果的にコレステロールも安定させることができるのです。
筋トレは結果的にテストステロンを分泌させることにつながり、コレステロール量を安定させ、健康な身体に導くことができるのです。
コレステロール値が高い人は筋肉がつきやすい?
アメリカの研究機関において、コレステロール値が低い人は筋肉がつきにくく、コレステロール値が高い人には筋肉がつきやすいという研究結果があります。
つまり今コレステロール値が高くて悩んでいる人においても、筋トレに取り組むなかで脂肪燃焼の効率がよい身体へと変化させることができるのです。
筋トレの継続でコレステロールが高くならない体質に
筋トレは一般的に「無酸素運動」といわれ、ウォーキングやジョギング、水泳などの「有酸素運動」とは区別されています。
ウォーキングなどの有酸素運動では、コレステロールや中性脂肪などを下げる効果の実感を得やすく、目的をもって取り組みやすいスポーツです。
筋トレ自体はそれほど消費カロリーが多くありませんから、目覚ましくコレステロールや中性脂肪に対する影響を感じることはできないのですが、筋肉量をあげることで基礎代謝が高くなっていきます。基礎代謝が高くなると、運動していない間でも消費するカロリーが多くなり、身体にコレステロールを蓄積させにくいようにすることができるのです。
最初は無理せず取り組みやすいものから始めるといいでしょう。腕立て伏せ、腹筋、スクワットなどできる範囲で、週に3回程度でも十分です。1回に5分程度でも取り組むことができますし、器具なども必要ありませんから手軽に始められます。
太りにくい体質となり、生活習慣病を防ぎ、健康な生活をとり戻すことさえできるのですから、少しずつ筋トレに取り組まれてはいかがでしょうか。
まとめ
コレステロールと運動の関係についてお伝えしました。
健康には運動が大事だと思っていても、なかなか重い腰をあげることはできません。また忙しい毎日を過ごしている人であれば、運動の時間を確保することも難しいでしょう。
しかし少し意識するだけでも毎日運動することは可能です。通勤において一駅前で下車して会社に歩くこともできますし、帰宅の際にはバスに乗らずに歩いてみることもいい方法です。
またウォーキングなどの有酸素運動と同時に、筋トレなどの無酸素運動を取り入れることも大事です。有酸素運動では効果的にコレステロール値を下げることができますが、無酸素運動を続けることで代謝を高め、コレステロールが上昇しにくい身体に作り上げることができるのです。
つまり有酸素運動と無酸素運動をうまく取り入れていくことで、常に健康な状態をキープできるようになるのです。コレステロール値をうまくコントロールできる身体に変化させていきませんか。