中性脂肪とは?

中性脂肪とは肉や魚・食用油など食品中の脂質や体脂肪の大部分を占める物質のことで、単に脂肪とも呼ばれます。※1
※1厚生労働省 生活習慣病予防のための情報サイト 「中性脂肪/トリグリセリド」
中性脂肪はからだのエネルギー源として利用されますが、残った中性脂肪は肝臓等に蓄えられます。血液中の中性脂肪が増えすぎると脂質異常症となって動脈硬化を促進し、さらに進行しますと心筋梗塞や脳梗塞など深刻な病気の原因となるのです。
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中性脂肪の基準値
では、中性脂肪はどのくらいの値であればセーフなのでしょうか?健康診断の検査結果にも書かれていますが、血液中の中性脂肪の値は
正常値 | 30~149mg/dl |
異常値 | 29mg/dl以下または150mg/dl以上 |
とされています。
特に血液中の中性脂肪の値が150mg/dl以上となりますと「高トリグリセライド血症」とされ、これはメタボリックシンドロームの診断基準にも盛り込まれています。
厚生労働省 生活習慣病予防のための情報サイト 「中性脂肪/トリグリセリド」
ただし、基準値には学会によって違いがあります。
上記の基準値は日本動脈硬化学会のものであり、一般的なのはこちらの基準値なのですが、そのほかに日本人間ドッグ学会による中性脂肪の基準値もあります。こちらは男性・女性とそれぞれの基準値があり次のように定められています。
男性 | 39~198mg/dl |
女性 | 32~134mg/dl |
とされています。
こうしてみますと、男性基準値が従来の値よりも高いことがわかります。これをみて、「自分はまだだいじょうぶだ」とホッとした方もいらっしゃるかもしれませんね。
中性脂肪400以上だと異常?!
では、健康診断でもしもこの中性脂肪の値が400も500もあったとしたらどうでしょうか。実は正常値を超した場合の重症度には以下のようなレベルがあります。
数値 | 重症度 | 対策 |
~149 | 正常 | 必要なし |
150~299 | 軽度高中性脂肪血症 | 食事・運動療法を開始する |
300~749 | 中等度高中性脂肪血症 | 食事・運動療法を実施し、必要であれば薬物療法を行う。500mg/dl以上の方は禁酒。 |
750以上 | 高度高中性脂肪血症 | 食事・運動療法はもちろん、薬物療法も必要。 |
中性脂肪400は日本人間ドッグ学会でも「要医療」の状態です。動脈硬化・生活習慣病が確定というわけではありませんが、そのリスクは高く、注意が必要なレベルであるということは言えるでしょう。特に、喫煙者や糖尿の疑いがある方は要注意です。
なお、中性脂肪が1000mg/dlを超えるのは異常です。ほんとうであれば急性膵炎や心筋梗塞・脳梗塞など命に関わるリスクがすぐそこまで来ている可能性もあります。健康診断の結果にも「要再検査」となっているはずですし、結果に間違いがないかどうか確認のためにも再検査を受けましょう。
ただし、中性脂肪は一時的に上がります。食後30分くらいから上昇をはじめ、ピークは食後4~6時間と言われています。そのため、もしも食後に血液検査を行った場合は値が高くなるのはあたりまえのことなのです。また睡眠不足やストレス、前日の飲酒や前日の食事などが影響することもあります。
いずれにしても、中性脂肪の値が急に高くなった場合には必ず再検査を受けましょう。
中性脂肪の原因は?
この中性脂肪の上がる原因はなんなのでしょうか。
中性脂肪はわたしたちが余分に栄養をとったときや運動不足によりエネルギーを消費できなかった時にその余ったエネルギーが蓄えられたものです。つまり、
- 食べ過ぎ
- アルコールの飲みすぎ
- 運動不足
こうしたことが中性脂肪の上がる原因となります。
食べ過ぎ
中性脂肪の高い方は、摂取カロリーに気をつけましょう。特に甘いものや油物、炭水化物のとりすぎや砂糖の入ったジュースを飲む習慣がある方も注意が必要です。
アルコールの飲みすぎ
お酒も中性脂肪の上がる原因の一つです。なぜアルコールが中性脂肪の上がる原因になるのか?確かにお酒には糖分が含まれていますが、それが直接的な原因というわけではありません。
実は、アルコールは肝臓での中性脂肪の合成を増やしてしまうのです。
増えてしまった中性脂肪の一部は肝臓のそとに分泌されて、血液中の中性脂肪の値が高い「高トリグリセリド血症」の原因となり、一部は肝細胞内に蓄積されて脂肪肝の原因になってしまいます。
もしもどうしてもアルコールを…というのであれば、厚生労働省は「健康日本21」のなかで「節度ある適度な飲酒として以下のような定義をしていますから参考にしてください。
- ビール中瓶1本
- 日本酒1合
- 酎ハイ(7%)350ml缶1本
- ウィスキーダブル1杯
最近ではノンアルコールビールやサワーなど、ノンアルコールのものが種類豊富に出ていますから、試してみるといいかもしれませんね。
運動不足
食べ過ぎなどで必要以上にとりすぎエネルギーは中性脂肪として蓄えられますが、運動不足で消費されずに余ってしまったエネルギーも中性脂肪となることで中性脂肪の値が高くなります。
中性脂肪の減らし方
それでは増えてしまった中性脂肪はどのように減らしたらいいのでしょうか。減らし方のポイントは、やはり原因となるカロリーの高い食事や運動不足を改め、減量を行うことです。
中性脂肪を下げるための食事は?
中性脂肪の高値の原因は、カロリーの摂りすぎです。とくに甘いもの・油物・炭水化物の摂りすぎや砂糖の入ったジュースを飲む習慣もNGです。
おやつに生クリームたっぷりのケーキやポテトチップスにジュースが好きという方は注意しましょう。お菓子を食べるのであれば油脂類が使用されていない和菓子、またオレイン酸やα-リノレン酸といった中性脂肪を下げる効果のある成分が含まれるくるみ、アーモンドなどのナッツ類がおすすめです。
サラダは中性脂肪を下げるためにはよさそうですが、ポテトサラダとなりますとじゃがいもは意外と糖質が高いため中性脂肪が高い方はグリーンサラダのほうがおすすめです。マカロニサラダも同様です。
また、青魚に含まれるDHAやEPAは中性脂肪を下げる働きがありますので積極的な摂取がおすすめです。
しかし毎日あじやさんまなど魚料理にするのはなかなか難しいですよね。そうした場合には例えばサバ缶など缶詰で魚の水煮をとることもおすすめです。
サラダに添えたり和え物にしたり、そのままご飯のおかずにもなりますよね。また魚肉ソーセージは主原料が魚ですから、DHAやEPAが含まれています。
ただし、魚でも魚卵となると話は別です。いくらやたらこなどの魚卵のほか、レバーなどの内臓系はコレステロールが高くなりますので中性脂肪が高い方は気をつけましょう。
注意点として、ダイエットだからといって朝ごはんを抜くなど食事抜きはNGです。逆にそのぶん食べた時にはエネルギーを貯めておこうとして、中性脂肪を貯めやすくなってしまいますので注意しましょう。
中性脂肪を下げるには有酸素運動!
中性脂肪の高値の原因の一つが運動不足です。では中性脂肪を下げるためにはどのような運動をすればいいのでしょうか。それには脂肪を燃焼してくれる「有酸素運動」がおすすめです。
なぜ有酸素運動なのか?といいますと、有酸素運動は負荷の比較的小さい運動ですが、筋肉を動かすエネルギーとしてからだの血糖や脂肪が酸素と一緒に使われるからです。
例えば
- ウォーキング
- ジョギング
- サイクリング
- スイミング
などといった運動が挙げられます。
運動しているのに健康診断で中性脂肪の値が下がらないという方、中性脂肪を減少させるのに必要なのは有酸素運動です。
中性脂肪を減らすことを考えて運動するのであれば、筋力トレーニングや短距離走などの無酸素運動ではなく有酸素運動を取り入れましょう。
中性脂肪を下げる成分をサプリメントで補う
食生活の見直しや運動・減量を一応実行いるもののなかなか中性脂肪が下がらない…、またすぐにはいろいろ始めるのが難しい…という方もいらっしゃると思います。
そうした方にはサプリメントの利用もおすすめです。どのようなサプリがいいのか、よく言われているのが成分にDHAやEPAが入ったものです。
DHAやEPAは青魚に含まれていますが、毎日青魚を食べるというのはなかなか難しいのではないでしょうか。サプリメントでしたら手軽に摂取できますよね。
厚生労働省ではこのDHAおよびEPAの望ましい摂取量として1日1gとしています。
厚生労働省 日本人の食事摂取基準 2010年版 EPA及びDHAの目標量(下限)
普段の食事からもいくらか摂取はできますので、目安としては400〜600mg程度を補えるものを選ぶといいでしょう。
基本的には栄養成分は食事からの摂取を心がけ、足りないぶんをサプリメントで補うようにするといいかもしれませんね。
中性脂肪を下げるのにお茶は有効?
テレビの健康番組などで中性脂肪を下げるの飲み物としてお茶が紹介されることがよくありますね。お茶とひとくちにいってもさまざまな種類のお茶があり、それぞれに含まれている成分が違います。
たとえば、広く飲まれているウーロン茶ですが、そのなかでもサントリーが特定保健用食品(トクホ)として開発した黒烏龍茶というものがあります。
ミランダ・カーがCMしていることで見知っている方も多いのではないでしょうか。
このお茶は、脂肪の吸収を抑えて体に脂肪がつきにくいという特徴を持っています。血中中性脂肪が高めな方の食生活改善に役立つお茶です。
また、花王のヘルシア緑茶は脂肪を代赭する力を高め、体脂肪を減らすのを助ける働きのあるトクホのお茶です。茶カテキンが脂肪の分解と消費に働き、酵素の活性を高めます。
ただし、トクホのお茶は薬とは違います。そうした働きがある、ということは認められていても、それを飲んでいるだけで健康になるというわけではありません。
基本的には食生活の改善と適度な運動など生活週間の改善を行った上でサポートとして飲むようにしましょう。
中性脂肪を薬で下げる
中性脂肪を下げる方法として広く知られているのが食事療法や適度な運動・減量ですが、中性脂肪の値があまりにも高くなってしまった場合には生活週間の改善と合わせて薬を処方されることもあります。
正常とされる中性脂肪の基準値は30〜149mg/dlですが、150を超えたからといってただちに薬物療法というわけではありません。
中性脂肪の重症度には段階がありますが、300〜749となってきますと要検査、必要であれば薬物療法となり、750以上となるとただちに薬物療法が必要な数値となります。
まとめ
中性脂肪を下げるには、まずはカロリーの摂りすぎを改めることです。脂質や糖質の多い食事には気をつけましょう。
またとったカロリーを消費できるよう、日常的に適度な運動を、肥満の方はダイエットを心がけましょう。
なかなかこれまでの生活習慣をいちどに変えるのは難しい…という場合には、サプリメントを併用するのもおすすめです。青魚に含まれるDHAやEPAという成分は中性脂肪を下げる働きがあります。栄養補給、健康のサポートとして、役立ててみてもいいかもしれません。