動脈硬化改善によい食べ物・飲み物・運動・サプリ

動脈硬化は老化やさまざまな原因によって血管が厚く硬くなって弾力性が失われた状態のことです。
血管の内側に血液中の悪玉コレステロールなどが沈着してプラークと呼ばれるコブのような塊をつくり、血管のなかが詰まりやすくなります。さらに進行するとプラークにカルシウムが沈着して石灰化という状態になり、血管の内側が硬くなって、心筋梗塞や脳梗塞、脳出血などの重大な病気を招いてしまいます。
動脈硬化は高齢者がなるものだし…と思っている方もいらっしゃるかもしれません。確かに、血管の老化は加齢とともに進行するもので誰にでもそのリスクはあります。
しかし、最近では30代や40代の方でも脳梗塞や心筋梗塞が増えています。動脈硬化の初期は無症状であるため、気づかないうちに進行しているのです。そしてこのことから、動脈硬化は「サイレントキラー」とも呼ばれています。
では、動脈硬化になってしまったらどうしたらいいのでしょうか?
「一度なってしまったら治らないの?」
「改善するのか?改善するならその改善方法や期間は?」
厚生労働省の情報サイト e-ヘルスネットによりますと、「動脈硬化は、喫煙・コレステロール・高血圧・肥満・運動不足などの危険因子が重なることによって発症しやすくなります。」とあります。
他にも遺伝的要因などもありますが、動脈硬化が起こる要因の多くはこのように生活習慣に関わるものなのです。
一度動脈硬化になってしまえば完治することは難しいですが、食事療法や運動療法を行うことは動脈硬化改善に有効といえます。
動脈硬化を改善するには食習慣や食行動を修正する必要があります。朝食・昼食・夕食を規則的にとり、薄味をこころがけ、食べ過ぎに注意し、栄養バランスのとれた食事をよく噛んで食べるなど基本的なことを気をつけましょう。
Contents
動脈硬化を改善する食べ物
野菜
動脈硬化を改善するにあたって、やはり大切なのは野菜です。成人の1日あたりの野菜の摂取目標は350g以上ですが、厚生労働省が実施している「国民健康・栄養調査」によれば野菜の平均摂取量は男性で284g、女性で270gとなっており、50g以上も毎日足りていないことになります。
野菜を多く摂ることで、コレステロールの排出を促す食物繊維のほか、葉酸などビタミンB群、ビタミンCなどさまざまな栄養素を摂ることができます。
たまねぎに含まれるケルセチンも血液の流れを改善する作用があるとして注目の栄養素です。
魚
動脈硬化の改善には魚の摂取もとても重要です。増えすぎたLDLコレステロール(悪玉コレステロール)は動脈硬化を促進しますが、アジやサンマなどの青魚に含まれるDHAやEPAといった不飽和脂肪酸はHDLコレステロール(善玉コレステロール)を下げずにこのLDLコレステロールを減らす働きがあります。
参考:厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット 「HDLコレステロール」
DHAやEPAといえば青魚という印象が強いですが、実はクルミに含まれるα-リノレン酸という脂質も体内に入るとDHAやEPAを作り出します。
穀類
主食は白米よりも玄米や7分つき米、またパンなら白パンよりも全粒粉など、未精製穀類を使ったものが食物繊維を多く含みます。
大豆製品
豆腐や納豆に含まれる大豆たんぱくはコレステロールの吸収を抑える働きがあります。
参考:厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット 「HDLコレステロール」
海藻
海藻は食物繊維やミネラルを豊富に含んでいます。野菜を摂るのと同様に積極的に摂取するといいでしょう。
以上のように、魚や野菜を中心とした食事が動脈硬化改善に有効な食事となります。魚、野菜、海藻、大豆…つまり伝統的な日本食は動脈硬化改善にいいということですね。
外食でもできるだけ定食にしたり、コンビニ食なら意識的にサラダや野菜のお惣菜をつけるなどして野菜を積極的に摂取するようにしましょう。
動脈硬化に悪い食べ物
肉の脂身、乳製品、卵黄
コレステロールや飽和脂肪酸の多いものは控えましょう。肉の脂身や乳製品、卵黄などは摂りすぎに注意します。
また、同じ油でも摂らない方がいい油とそうではない油があります。
例えば食用油や動物の油を加熱すると動脈硬化につながる脂質が発生するため、バターやラードなどは摂取に注意が必要ですが、オリーブオイルに含まれるオレイン酸や、亜麻仁油に含まれる青魚とおなじオメガ3脂肪酸などは動脈硬化予防が期待できる成分として知られています。
アルコール
アルコールは適量を守り、過剰摂取には気をつけましょう。
食塩
厚生労働省の国民健康・栄養調査(平成28年)によれば、食塩摂取量の平均値は20歳以上男性で10.8、女性で9.2gとなっています。しかし、厚生労働省の健康日本21(第二次)によれば、その目標値は男女ともに8gです。
さらに世界的基準を見ますとWHOの基準が5gとなっており、日本人がいかに食生活において多くの食塩を日々摂っているかがわかります。食塩の取りすぎには気をつけましょう。
例えば、料理の際の味付けには塩の代わりとして酢を使ってみたり、出汁をうまく使ってみるなどしてレシピを工夫してみるといいかもしれませんね。
動脈硬化の改善によい運動は?
運動不足は動脈硬化の危険因子のひとつです。適度な運動を習慣にしましょう。
では、動脈硬化改善のためにはどのような運動を行えばいいのでしょうか。それには軽めな有酸素運動が良いと言われています。
一番手軽にできるのがウォーキングですね。1日30分以上の歩行を週に3〜4回目安に行いましょう。ジョギングやラジオ体操、サイクリングなど適切な運動習慣をつけましょう。
逆にハードな筋トレを行なった場合には、動脈硬化を促進するといった論文もあります。しかしこれはあくまでも競技者に近い高強度のトレーニングを継続して行なった場合です。
また、動脈硬化の度合いによっては運動することで体の負担になってしまう場合もあります。体調の悪い方や過去に心筋梗塞等を起こした方やお年寄りなどの場合には激しい運動は控え、医師に確認のうえで行ないましょう。
動脈硬化の改善にサプリは効く?
人によっては食生活の改善や適度な運動を取り入れることが難しい方もいらっしゃるかもしれません。そうした方にはサプリを利用するという方法もあります。
とくに仕事が忙しい一人暮らしの方の場合など、毎日青魚を食べるというのはなかなかできなかったりしますよね。サプリメントであれば、忙しい方でも手軽にその栄養素を摂取することができます。
あじやさんまなどの青魚に含まれるDHAやEPAなどのn-3系不飽和脂肪酸には前述の通りHDLコレステロールを下げずにLDLコレステロールを減らす働きがあります。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」2010年版では、このDHAおよびEPAの望ましい摂取量を18歳以上では1日1g以上の摂取量(魚で約90g/日以上)と定めています。
参考:厚生労働省 日本人の食事摂取基準 2010年版 EPA及びDHAの目標量(下限)
※2015年版ではDHA・EPA・リノレン酸と合わせてn-3系脂肪酸としてひとくくりにした目安量の掲載になっているため、ここでは2010年版を参考にします。
ちょっと古いですが、平成17年および18年の国民健康・栄養調査では、30~49歳のEPA・DHAの摂取量は男性でおよそ330mg、女性で230mg、となっています。目標とする1gにはかなり足りないことがわかりますね。
そのため、サプリメントを選ぶ際にはこの足りない部分を補える量が配合されているものを選ぶといいでしょう。過剰な摂取もいけませんので、目安としてはだいたい400mg~600mg程度のものを選ぶといいかもしれません。
ただし、サプリメントは手軽に栄養を摂取できて便利ではありますが、基本的には食事から栄養を摂ることをこころがけ、サプリメントはあくまでサポートとして上手に利用しましょう。
動脈硬化の改善によい飲み物は?
動脈硬化改善に役立つ飲み物としてコーヒーや緑茶などがよく言われていますが、これがよい、というようなはっきりしたことはまだでていません。ただし、水分が不足しますと血液濃度が高まり血がドロドロになって血栓もできやすくなるため、やはり積極的な水分の摂取は必要です。
人間は1日に1.5~2リットルの水が必要だと言われていますが食事からも水分は摂取できますので水として摂取する量はここまで多くなくても大丈夫です。ただし眠っている間はコップ1杯の汗をかきますので、寝る前に水を一杯、そして朝起きた時にも一杯飲むことを心がけましょう。
また、動脈硬化改善によいかどうかはまだはっきりとされていませんが、よく言われている飲み物には以下のようなものがあります。
お茶
緑茶に含まれるカテキンは抗酸化作用が強い成分として知られています。
コーヒー
以前ためしてガッテンでコーヒーの健康効果について放送された際、コーヒーを飲むとコレステロールの処理能力が高まると紹介されました。
また、国立がんセンターによると、コーヒーを1日3~4杯飲む人の死亡リスクは全く飲まない人に比べて24%低いことがわかったそうです。心疾患死亡、脳血管疾患死亡、呼吸器疾患脂肪についてはコーヒー摂取による危険度の優位な低下が見られたとのことです。
参考:国立がんセンター 予防研究グループ コーヒー摂取と全死亡・主要死因死亡との関連について
トマトジュース
トマトに含まれるリコピンは抗酸化作用が強い成分として知られています。動脈硬化改善にはできるだけ多くの野菜の摂取が必要ですし、栄養のサポートとして飲むのはいいかもしれません。
動脈硬化の治療薬について
動脈硬化の状態によっては、合併症予防のために薬物による治療を行うことがあります。
コレステロールを低下させる薬や血液のかたまりである血栓ができるのを防いだりとかしたりする薬、また血圧や血糖値を下げる薬などを服用することがあります。症状に応じていくつかの種類の治療薬が使い分けられます。
血液をサラサラにする薬の場合、他の薬との飲み合わせのほか、食品についても注意が必要なものがあります。服用中は以下のものに気をつけましょう。
- 青汁
- 納豆
- 海藻
- クロレラ
- ほうれん草など
禁止となる食品については、医師によく確認し、その指示に従うようにしましょう。
まとめ
動脈硬化の改善には、やはりまずその危険因子となる喫煙・コレステロール・高血圧・肥満・運動不足を改善することが大事です。
動脈硬化は誰でもなりうる病気です。『自分はもう動脈硬化の予備軍かも?』と思った方は、以上のような食事療法や運動療法からはじめ、動脈硬化の予防を心がけましょう。
また、すでに健康診断の結果で動脈硬化の疑いがあると判明した方は精密検査を受け、医師の診断のもとに相談の上で生活習慣病の治療を行なっていってください。