尿酸値を下げるコーヒーの飲み方
尿酸値が高いと、足の親指などで結晶化し、激しい痛みに悩まされる発作が出現します。痛風発作と呼ばれる症状です。
「風が吹くだけでも痛む」くらいに発作が酷くなります。昔は、贅沢病とされていましたが、今は多くの人が予備軍であるともいわれています。
会社の健康診断などにおいて、尿酸値が高いと診断された方については、十分注意しなければなりません。極めて高い「高尿酸血症」と呼ばれる症状を持っている人は増加傾向にあります。
コーヒーには尿酸を下げる作用があるといわれます。果たして本当に下げることができるのでしょうか。ここではコーヒーの作用ついてお伝えしていきたいと思います。
Contents
尿酸とは
尿酸とは
そもそも尿酸とはどういうものなのか、知らない人も多いと思います。しかし、私たちが生活していくうえで、とても大きい役割を担っている成分であるといえます。
私たちの体は常に新陳代謝し、健康を維持できますが、その際に必要なエネルギーの燃えカスが尿酸です。私たちの身体の中に蓄積されています。正常な状態では1200㎎あり、肝臓や腎臓、そのほかにも幅広い組織に存在しています。
1日に700㎎を尿や便から排出され、食品の摂取や体内での生産によって同じ700㎎を蓄積します。1200㎎で安定的に保たれています。
この排出量が少なくなることや生産が多くなってしまうことで、体内の尿酸値が高くなります。この状態が高尿酸血症で、痛風発作が起きやすい状態です。
尿酸値が高いとどうなる
尿酸は、私たちの健康的な生活に不可欠な成分ですが、生産と排出とのバランスが必要で、多くなりすぎても少なすぎてもダメなのです。
特に男性は高い傾向にあります。高くなる原因の一つには、食生活があります。普段の食生活において、高めるもの多く摂ってしまった場合、どうしても体内の数値が高くなる傾向があります。高める食品には、十分注意する必要があります。
数値が高くなると、尿が酸性になりやすくなります。尿が酸性になってしまうと尿酸が溶けにくく、排出しにくくなってしまいます。健康な尿はアルカリ性になっていますが、常にアルカリ性に維持しておく必要があります。
酸性尿になり、溶けだす量が少なくなると、体内の尿酸がどんどん増えます。このよう状態が「高尿酸血症」です。
この状態が長く続いてしまうと、血液中で尿酸が結晶してします。結晶すると、血液の流れが悪くなり、特に体温が低い箇所で沈着します。どんどん沈着すると、その部位で炎症を起こします。この炎症を起こした状態のことを痛風と呼び、とても激しい痛みが伴う痛風発作が出現します。
尿酸値を下げるには
血液中の尿酸を高めないようにしなければなりません。高まる原因を多く含んだ食品については摂りすぎに注意し、排出を促していくようにしなければなりません。
高めてしまう食品とは、「プリン体」を多く含んでいるものです。最近、多くの食品や飲み物などにも「プリン体ゼロ」などと記載されているものを多く見かけるようになったと思います。プリン体を含む食品は、摂りすぎないように心がけましょう。
まずは、肥満にならないようにすることが大事です。標準体重は以下の数式で求めることができます。
標準体重(㎏)=身長(m)×身長(m)×22
この標準体重を目安にすることが必要です。
またお酒の飲みすぎは大敵です。ビールには多くのプリン体が含まれており、さらにアルコールには排出を弱める機能があります。飲み過ぎには注意しましょう。
コーヒーで尿酸値が下がる?
コーヒー好きには痛風が少ない?
コーヒーには尿酸を下げる作用があるといわれます。その反面、コーヒーに含まれるカフェインは良くないという記事を見かけることもあります。いったいどちらが本当なのでしょうか。
公益財団法人日本医療機能評価機構の発表によりますと、「コーヒーの摂取量が多い人は痛風になりにくい」とされています。
実際にコーヒーの摂取量と発症の関係を見てみますと、1日にまったくコーヒーを飲まない人の痛風発症リスクを1とすると、「1日1杯未満」「1日1~3杯」「1日4~5杯」「1日6杯以上」と多くなるほどそのリスクが下がっています。
「1日1杯未満」では0.97
「1日1~3杯」では0.92
「1日4~5杯」では0.6
「1日6杯以上」では0.41
とコーヒーの効果が明らかになっています。
この研究結果はブリティッシュコロンビア大学の研究チームが12年にわたって4.5万人に対して行ったデータです。ほかにも多くの大学が同様の研究を行っており、同様の結果が出ています。
この結果を見れば、コーヒーを長期間飲み続けることは、下げるために有効だといえるでしょう。
尿酸とプリン体の関係
ここで尿酸とプリン体の関係についてお伝えしたいと思います。
尿酸値が高まる原因は、プリン体にあります。プリン体は、私たちの臓器を動かすことや生活に必要になるエネルギーになるものです。生命に関わる大事なものであり、欠かせないものなのです。
体内には1200㎎を常にキープしています。尿や便で1日700mgを排出させ、食事の摂取や体内での生産によって700mgを補います。排出量が少なくなったり、体内での生産量が増える場合には血液中に増えてしまいます。
高まる飲み物も控えなければなりません。特にビールは、プリン体が多く含まれており、アルコールには排出を弱める作用があります。利尿作用が多く血液中の水分を減らし、血液中の数値を増やしてしまいます。
カフェインが多く含まれている緑茶などでも、飲み過ぎることで利尿作用が働き、血液中の数値を増やす可能性があるといわれます。カフェインにもプリン体は含まれています。カフェインが良くないといわれる由縁となっています。
ではコーヒーのカフェインはなぜ大丈夫なのでしょうか。
コーヒーと尿酸値の関係
コーヒーに対する研究から、コーヒーには尿酸を下げる作用があるといえます。
しかし、カフェインは高める可能性もあることから、コーヒーのカフェインに対する研究も同時に行われました。
ノンカフェインのコーヒーと比べた研究が行われたのですが、カフェイン入りのコーヒーと尿酸値に対する影響は変わらなかったとの結果が出ています。
コーヒーが数値を下げる作用については、実はその関係が良く分かっていません。コーヒーに含まれるポリフェノールが、下げる効果があるのではと仮説が立てられています。
カフェインには数値を高める作用がありますが、コーヒーに含まれるカフェインはほかのものと違うのではないかともいわれます。
いずれにしても、コーヒーは飲み続けることで、下げる作用は間違いなく、コーヒー好きであれば積極に飲むと良いでしょう。
尿酸を下げるコーヒーの飲み方
コーヒーをどれくらい飲むと効果がある?
前述したコーヒーの摂取量と痛風発症の関係では、1日1杯以上飲む人と、飲まない人と比べると、発症リスクが低下すると発表しています。6杯以上飲むと、半減以下になります。
ただ飲み過ぎに対するリスクについては示されていないので、1日6杯飲むことが適切だとは思えませんが、1日1杯を飲むようにするだけでも、適正な数値にするためのサポートとなるでしょう。
1杯についてどの程度の量がいいかということについては、研究ではその量を示されていませんので、自身が飲んでいる通常量で構わないでしょう。
ただし、コーヒーにはシュウ酸が多く含まれており、尿管結石や腎結石の原因になりますから、結石の既往歴がある人であれば、おススメすることはできません。
コーヒーのおススメの飲み方は?
コーヒーのおススメの飲み方の前に、おススメできない飲み方をお伝えしたいと思います。
コーヒーに砂糖を入れる人は多いと思いますが、砂糖は糖分ですから、摂りすぎてしまうと肥満の可能性があります。数値を下げるには、肥満は大敵ですから砂糖を入れることはおススメできません。
牛乳はプリン体を含んでいる飲み物ですが、数値を高めずに下げる作用があるといわれています。乳製品を多く摂っている人の痛風リスクは下がっていくことが、研究により分かっています。
コーヒーは数値を下げる作用がありますが、コーヒーに牛乳を入れて飲むと、さらにリスクは下がるといえます。
まとめ
コーヒーと尿酸の関係についてお伝えしました。
さまざまな研究データーから見ても、コーヒーを飲み続けることは数値を下げる作用があるといえます。
ただし、薬ではありませんから、飲み過ぎることはよくありませんし、まずは適正な治療を行うことが肝心だといえます。
うまくコーヒーと付き合うことで、サポートすることができるでしょう。
参考:高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版 公益財団法人日本医療機能評価機構
参考:ブリティッシュコロンビア大学「Coffee consumption and risk of incident gout in men: a prospective study」