尿酸値に関する血液検査のデータの見方
会社の健康診断によって血液検査を行うと、あらゆる成分の検査データを確認することができます。様々なデータの中で、尿酸値が高いと診断を受けた方も少なくないと思います。
尿酸値が高いと診断されている方は、30代から40代の男性の3人から4人に一人いるといわれています。
尿酸値が高い症状のことを高尿酸血症といいます。この状態になると、足の親指の関節が赤く腫れ上がったり、突然関節がひどい痛みに襲われる「痛風発作」を起こすリスクが高いのです。
血液検査の結果をそのまま放置する人も少なくありません。しかし日々の健康状態を示すものですから、上手に活用して健康的な生活を送るようにしましょう。ここでは血液検査の尿酸値を用いて、どのようなところに注意しなければならないかお伝えしていきます。
Contents
尿酸値に関する血液検査
尿酸値で何がわかるのか
尿酸とは、私たちの体内にある、生命活動を行う中で大切な成分です。 一定の数値を維持することで、健康的な生活を過ごせます。
健康診断などの血液検査において、尿酸値を確認することができます。この数値は血液中の尿酸の割合を示すものです。 数値は㎎/dlという単位によって表されています。
尿酸は、私たちが健康的に生活するために必要なエネルギーを燃焼させた後の燃えカスです。燃えカスとなった尿酸は、最終的に尿や便と一緒に排出されることになります。また、私たちはエネルギーを食品で摂り込んだり、体内で生成したりしています。
食品から取り込んだり、体内で生成したりする量と、尿や便と一緒に排出される量は均等になっていて、体内の量は一定で維持されるようになっています。
しかしその体内の量が少なくなったり、高くなったりすることで、生活習慣病を引き起こすなど、病気のリスクが高まってしまうことになります。
尿酸の基準値について
体内の尿酸については、血液検査において確認することができます。
尿酸の基準値は、
男性:3.7~7.8㎎/dl
女性:2.6~5.5㎎/dl
と、男性と女性によって基準値に違いがあります。
尿酸が高くなってしまう症状を高尿酸血症といいますが、 厚生労働省によりますと7.0㎎/dl以上の状態が長く続いてしまうことだとしています。
女性の基準値はそもそも低いので、高尿酸血症になりにくいといわれています。 そのため 高尿酸血症の男女の割合は、男性が90%以上であるといわれています。
ただし女性であっても、中高年になるとそのリスクが途端に高くなりますので、普段から血液検査の結果については意識しておく必要があります。
尿酸値が低すぎる、高すぎるとどうなる?
血液検査において、尿酸値が異常であるといわれる場合に多いのは、高すぎる状態です。
数値が7.0㎎/dl以上で、長くこの状態が続いてしまうと「高尿酸血症」と診断されます。高尿酸血症と診断されてしまうと、痛風になるリスクがかなり高くなってしまいます。
この高尿酸血症が腎機能障害の原因にもなってしまいます。 また高血圧症、糖尿病、動脈硬化症などの生活習慣病を引き起こす原因になることも分かっています。
反対に、尿酸値が低すぎる場合ではどのような症状を引き起こすのでしょうか。
尿酸は、尿から排出されますが、この排出量がとても多い方がおられます。尿酸が尿の中に多く出てしまう方は、200~300人に1人ぐらいの割合でいるとされています。低尿酸血症といわれる症状です。腎臓機能が原因によって低尿酸になるタイプの方がおられます。
近年、増えている症状です。
増えている高尿酸血症
高尿酸血症とは~痛風予備軍
体内の尿酸が増えている状態が続いていると「高尿酸血症」と診断されます。数値でいいますと7.0㎎/dl以上が継続している状態です。
特に男性に多く、90%以上は男性であるともいわれます。
高尿酸血症の原因は3種類あるといわれています。
- 体内で尿酸が過剰に作られている
- 尿から尿酸を排出される量が少ない
- 1と2の混合
尿酸は、 食品からプリン体を多く取ってしまったことが原因だといわれますが、食品から尿酸になるのは、 全体の20%程度です。多くの尿酸は、体内で作られています。
食事を食べ過ぎたり、栄養を過剰に摂りすぎている場合では、 体内でエネルギーを増やしすぎてしまっており、結果尿酸を過剰に作られてしまうことになります。
体内で作られた尿酸は、同じ量を尿や便から排出されています。中にはこの排出量が少なくて、体内の尿酸を増やしてしまっている人もいます。
上記1のように、体内で尿酸が過剰に作られている人には、尿から尿酸を排出される量が少なくなっている人もいます。これが上記3の、「1と2の混合」です。
いずれの場合においても、高尿酸血症ですから、痛風発作を起こす可能性がある痛風予備軍といえます。
30代から40代の男性に多い
高尿酸血症は、30代から40代の男性に多いといわれています。なぜ女性よりも男性が多いかというと、尿酸の基準値が女性よりも男性の方が高い傾向にあるからです。
高尿酸血症から痛風発作を起こす人の中での割合をみると、かなり高い割合で男性であることがわかります。
特に近年は、男性にメタボリック症候群の人が増えており、肥満の人は尿酸が高くなる傾向にあります。 肥満対策が高尿酸血症対策であるともいえます。
女性は高尿酸血症にならないかというとそんなことはありません。女性の尿酸の基準値はそもそも低いために、なりにくいことは確かです。
高尿酸血症になった女性を調べてみると、女性ホルモンのバランスを崩しておられる方が多くおられます。女性ホルモンのバランスを崩すと、尿酸が高くなる傾向があるのです。
特に中高年の女性においては、閉経において女性ホルモンのバランスを崩す方が多く、同時に尿酸が高くなってしまいます。
女性においても中高年の方については十分注意が必要です。
なぜ尿酸値が高い人が増えているのか
尿酸値が高い人を調べてみると、多くの方が食生活に問題があるといえます。近年になってプリン体の摂取を控える人は多くなりましたが、尿酸値が高くなる原因はプリン体だけではなく摂取するエネルギー全体が問題になることの方が多いのです。
仕事盛りの30代から40代の男性に尿酸値が高い人が多いのは、仕事のストレスなどを抱えて食べ過ぎたり飲み過ぎたりすることが原因であると考えられます。
食べ過ぎによる肥満については、尿酸が高くなる一番の原因になります。また、アルコールを飲み過ぎてしまうと、アルコール自体の尿酸を高める作用が働いてしまうことになります。さらにストレス自体もうまく発散させないと、それ自体が尿酸を高める働きになってしまうこともあるのです。
尿酸が高くなり痛風になる人はその昔「贅沢病」と呼ばれましたが、ある意味現代病であるといえるでしょう。
高い尿酸値を改善するために
高尿酸血症の治療について
高尿酸血症は、
1、尿酸を体内で多く作りすぎてしまう「尿酸産生過剰型」
2、尿酸の排出が低下してしまう「尿酸排泄低下型」
3、1と2の「混合型」
に分けられ治療することになります。
これらの症状に応じて薬を服用し改善を図ります。 痛風発作が起こる前兆があったり、痛風発作を起こしてしまう場合には、それらに適用する薬を服用することになります。
尿酸は長い年月をかけて高くなってしまったものですから、この治療についてもある程度の年月が必要であるといわれています。
治療は薬だけではなく、生活習慣を改善することが一番大事です。 肥満を予防し、プリン体の摂取を制限して、健康的な生活を送ることが必要です。
尿酸値が高い人に必要な生活習慣改善
尿酸値が高い人には、薬の服用を促す前に、生活習慣を改め改善することを指導されます。
具体的には、プリン体を多く含む食品の制限、糖分や脂質などカロリーが高いものの過剰摂取を避けて、アルコールの摂りすぎには十分注意します。また適度な運動を行うようにして、肥満の予防やストレスを溜めない健康的な毎日を過ごせるようにします。
これらの生活習慣の改善と同時に、薬を服用するようにして、尿酸値を6.0㎎/dl程度まで下げることを目標とします。
ストレスがたまらない毎日を
昔、痛風は「日本人がならない病気」と言われてきました。しかし近年、痛風になる人は増えており、これから益々増えるだろうと予測されています。
ある意味、高尿酸血症や痛風は、現代病であるといえます。
特に30代から40代の男性に多いというのは、仕事盛りの年代であるということも大きく影響していると考えられます。
職場において責任のあるポジションにつき、ストレスを抱えたまま仕事についている人がたくさんおられます。ストレスを解消するために暴飲暴食や飲酒している人も少なくないでしょう。
しかし健康的に過ごすためには、ストレスとうまく付き合うなければなりません。適度な運動を続けるようにし、ストレスを解消することが尿酸を高めない方法であるともいえます。
まとめ
尿酸値に関する血液検査についてお伝えしてきました。
会社に勤めている人であれば、一年に一度異常は血液検査を行うと思います。そのデータを見ると、自分の健康状態を掴むことができますから、上手に活用することをオススメします。
血液検査のデータによって診断されることは、直ちに影響を及ぼすものでないものもあります。尿酸が高くても、すぐに痛風発作を起こすとも限りません。
しかし、放置してしまうことで長く健康を害してしまうことも少なくないのです。いつまでも健康で過ごせるように、血液検査のデータは謙虚に受け止めて、生活習慣を改善するようにしましょう。