牛乳で尿酸値を下げる~その仕組みとおススメの飲み方
会社の健康診断などにおいて、尿酸値が高いと指摘されて悩んでおられる方も少なくないと思います。 特に中高年の男性においては、3人から4人に一人は尿酸値が高い、痛風予備軍であるといわれています。
尿酸値が高くなってしまい、痛風発作が出てしまうと足の親指の付け根が赤く炎症を起こし、激しい痛みに見舞われます。
そのような状態になる前に、普段の食生活を見直していくことが大事です。
尿酸値を下げる飲み物として「牛乳」がいいとクローズアップされています。果たして牛乳は本当に尿酸を下げることができるのでしょうか。詳しく見ていきたいと思います。
Contents
尿酸値が高くなるいくつかの原因
尿酸が高くなる原因は
尿酸値が高くなってしまう原因をご存知でしょうか。
尿酸値は高くなって初めて意識する方が多く、それまで特に尿酸がどのようなものか知らない方も多くおられます。
尿酸は、私たち人間が生きるために必要なエネルギーとなるものです。私たちは日々体を動かしたり、体を動かしていない間であっても臓器を動かすなどして、生命活動をしています。
日々の食生活によってエネルギーを摂取して、生命活動によってエネルギーをどんどん消費しています。このエネルギーを消費する際の燃えカスが、「尿酸」です。
尿酸は、食事によって摂取したり、体内の中で生産したりして、消費しても足りなくならないようにしています。また体内にどんどん貯まりすぎていかないように、尿や便によって排出されています。
このエネルギー摂取や生産の量と、排出される量とのバランスによって、尿酸値は一定に保たれるようになっています。摂取や生産の量は700㎎で、排出される量も700㎎となっています。体内の尿酸値は1200㎎で安定的に保たれています。
このバランスが悪いと、尿酸値が高くなってしまいます。
プリン体の摂取制限が基本
私たちの生命活動のエネルギーとなるものは「プリン体」と呼ばれるものです。
プリン体が消費されて、尿酸になります。そのため食事の摂取においてプリン体が多く含まれているものを多く取ってしまうと、必然的に尿酸値が高くなってしまいます。
尿酸値が高い人にとっては、プリン体の摂取制限が基本となります。
特にお酒を好む中高年の男性においては、尿酸値が高い傾向にあります。お酒の中でもビールにはとても多くのプリン体が含まれているといわれています。
最近販売されているビールの中で、「プリン体ゼロ」とラベルに記載されているものも見かけたことがあると思います。このような商品が発売された背景として、いかにビールにプリン体が多く含まれていることが分かると思います。
お酒だけではなく、偏った食生活が続いていたり、外食が多いなどの方においても、尿酸が高くなる傾向にあります。特に肥満には十分気をつけて、バランスの良い食生活をすることが大事です。
原因はプリン体だけではないの?
尿酸が高くなってしまう原因は、食生活でプリン体を多く取ってしまうことだけが原因ではありません。 食事によってプリン体として吸収される割合は全体の2割程度であると言われており、残りの8割は体内で生産されています。
つまり食事の制限をしたとしても、尿酸値全体を改善できないこともあるのです。
尿酸値が高くなる傾向にある人を調べてみると、尿酸の排出が少ない方も一定の割合でおられることが分かっています。
健康的な人であれば、尿酸は尿や便によって700㎎排出されることが分かっていますが、この排出が少なくなってしまうことによって、尿酸値が高くなってしまうのです。
尿酸値を下げるために
重要な排出と生産のバランス
尿酸値を下げるために何をすればいいか調べてみると、多くは食事制限のことが述べられています。特に暴飲暴食をしているような人や食べ過ぎで肥満傾向の人であれば、尿酸値が高くなるリスクが大きいと言えます。
先ほども述べた通り、尿酸値は体内のバランスがとても大事で、食事摂取や体内での生産と、排出量とのバランスによって、尿酸値は一定に保たれているのです。
ただし尿酸は食事の摂取だけが原因のすべてではなく、ストレスや寝不足などによっても、尿酸値が上がると言われています。特にストレスが強くなってしまうと、それだけでも尿酸値が上がってしまうのですが、さらにお酒を飲んだり暴飲暴食したりすることで、 尿酸の生成に繋がるエネルギーをたくさん摂ってしまうことになります。
また尿酸値が上がってくると、尿がアルカリ性から酸性と変化し、尿酸の排出が少なくなってしまう傾向にあります。尿酸の排出が少なくなることでも、尿酸値が高くなってしまうのです。
尿酸の排出が必要
尿酸が高くならないためには、まず自分の食生活を見直すことが大事です。食べ過ぎるとエネルギーをどんどん蓄えることになりますので、太らないように食生活を改善し運動習慣を取り入れることが大事です。
また同時に尿酸の排出を促すように、しっかりと水分を摂取することが大事です。体内の水分が少なくなってしまうと、血液の中の水分が少なくなり尿酸の割合が高くなってしまいます。
ただしビールなどのアルコールは、利尿作用が高く血液中の水分をどんどん排出させてしまいます。そのためお酒は水分摂取にはなりませんので気をつけましょう。
私たち人間は、1日に水分を2.5 L排出させています。 逆にいますと1日に2.5 Lを摂っていかないと体内から水分が足りない状況になります。 特に睡眠中は汗をよくかいていますから、寝る前や寝起きには十分水分を摂るようにしましょう。
尿酸の排出を促すためにおススメの牛乳
尿酸を排出させ下げる「乳製品」
尿酸を下げるために大事なことは、 肥満にならないように気をつけ食生活を改善し、水分を十分摂ることで尿酸の排出を促すことです。
正しい食生活を十分気をつけているとしても、すぐに太ってしまい尿酸が高くなる傾向にある人もなかにはおられます。
そのような方であれば、尿酸を多く排出させるということを意識すればいいでしょう。特に乳製品については、尿酸の排出を増やせることができます。乳製品に含まれている乳たんぱく質が、尿酸を排出させる働きがあると言われています。
乳製品自体にはプリン体が含まれていませんので、安心して摂取することができます。
乳製品の中でも、 特にオススメできるのは牛乳です。牛乳の尿酸に対する作用についてみていきたいと思います。
牛乳で尿酸が下がる仕組みとは
尿酸を下げるために乳製品がオススメであるということについては、 テレビ番組「 NHK ガッテン!」においても大きく取り上げられています。
この番組の中では、食生活や肥満防止が大事だということについても述べられていますが、排出量を高めるために乳製品、特に牛乳をしっかり飲むことを勧められています。
牛乳やヨーグルトなどの乳製品には、カゼインと言う成分が含まれています。このカゼインは、体内に入った後にアラニンという成分に変わり、腎臓の働きを助け尿酸の排出を活発にさせると言われています。
つまり牛乳などの乳製品を摂ることによって、結果的に尿酸値を下げることができるというものです。
もちろん牛乳は薬ではなく食品ですから、劇的に尿酸値を下げるということができるわけではありません。しかし継続的に飲むことで、腎臓を助け、尿の排出を活発にさせることができますので、尿酸値に対して良い影響を与えることができます。
尿酸で悩んでいる人であれば、試してみる価値はあるといえるでしょう。
NHKガッテン!「プリン体じゃなかった!尿酸値を下げる秘策SP」
どの牛乳をどれくらい飲めばいいか
牛乳にも様々ありますが、 どの牛乳でもいいのでしょうか。
牛乳は大きく分けると普通の牛乳と低脂肪牛乳に分けることができると思います。低脂肪牛乳であれば、脂肪分が抑えられていますので、オススメできます。コレステロール値や中性脂肪値を抑えることも出来ますし、肥満対策にもなります。
どのくらい飲めばいいかということですが、牛乳一杯であっても効果的であるといわれています。一度にたくさん飲んでしまうと、お腹を壊してしまうこともありますので注意が必要です。大事なことは、一杯でも牛乳を毎日飲み続けるということです。
実際に牛乳を用いた検査では、約5万人を12年間調査したところ 、1日に牛乳をコップ一杯飲んだだけで痛風の発症率が43%低下したことが分かっています。一週間程度続けるだけでも効果が出た人もおられます。
尿酸値が高くなって気になっている人であれば、食生活の改善や運動習慣の見直しだけではなく、低脂肪牛乳を1日一杯飲んでみるようにしましょう。
まとめ
尿酸値を下げると言われている牛乳について詳しくお伝えしてきました。
牛乳を始め乳製品には、尿酸を下げると言われているカゼインと言われる成分が含まれています。このカゼインと呼ばれる成分が腎臓を助け、尿酸の排出を高めてくれる作用があります。
さらに乳製品には、プリン体は含まれていませんのでとても安心して摂取することができます。
特に牛乳の中でも低脂肪牛乳であれば、脂肪が少なく、肥満防止にもなりますからおすすめすることができます。もしも牛乳が飲めないという人であれば、低脂肪のヨーグルト食べればいいでしょう。
尿酸値が高くなると「高尿酸血症」と呼ばれ痛風のリスクが途端に高くなります。
尿酸値が高い人は、1日に一杯の牛乳からはじめてはいかがでしょうか。